子供の頃の思い出
小さい頃、兄と二人で小高い丘の斜面を、段ボールのそりで滑り降りて遊んだ。
子供の頃、近所のいじめっ子が養子だったと初めて知った。
小さい頃、桜並木の下を、父親に手を引かれながら入学式に行った。
子供の頃、いじめっ子が養父の死後、養母を支えながら逞しく生きているのを知った。
小さい頃、兄と二人で、冬の寒さと孤独を笑いながら乗り越えた。
子供の頃は、何故か全てがいつか終わると思っていた。
小さな、小さな、あの頃は、希望と言う言葉さえ知らなかったのに、何故か希望を抱いていた。